Welcome to the Okamoto lab
大阪大学大学院 生命機能研究科 岡本研究室へようこそ!
研究内容
マイトファジーとは?
ミトコンドリアは「細胞の発電所」とも呼ばれるオルガネラですが、生命活動のためのエネルギーを供給する過程で活性酸素種も発生し、酸化ストレスを蓄積します。この酸化障害に対処するための品質管理経路は多種多様であり、その破綻が様々な病気を引き起こすことがわかっています。私たちは、ミトコンドリアを丸ごと分別・除去する機構「マイトファジー」に焦点を絞り、解析可能な現象として捉えるとともに、分解の選択性を規定している鍵因子を見出してきました。マイトファジーは酵母からヒトまで保存された基本的な機構であり、細胞の恒常性維持に必須であると考えられます。今後は、これまでの研究をさらに発展させ、マイトファジーによるミトコンドリア品質管理の分子機構と生理機能を解明してゆきます。
マイトファジーの分子機構
ミトコンドリアを丸ごと隔離・分解するため、細胞はオートファジー(自食作用)の仕組みを利用します(図1)。一般にオートファジーとは、栄養欠乏時において発動される、細胞内構成成分の非選択的大規模分解であり、生体分子のリサイクルによる飢餓適応機構として働きます。具体的には、二重の膜でできた袋状構造(隔離膜)が細胞質成分を積み荷として丸ごと包んでゆき、完成した袋(オートファゴソーム)が分解コンパートメントであるリソソーム(酵母では液胞)と融合して、積み荷を含む構造体(オートファジックボディ)が放出され、分解されます。最近、このような非選択的な仕組みに加えて、特定のタンパク質やオルガネラを積み荷とする選択的オートファジーもあり、細胞にとって重要な品質管理システムであることがわかってきました。マイトファジーもそのような選択的分解機構の一つと考えられています。
私たちは、出芽酵母を用いてマイトファジーの分子基盤を獲得し、ミトコンドリア特異的「分別マーク」タンパク質を同定(図2)、その機能の一端を明らかにしてきました(図3)。この鍵因子がどのような仕組みで発現し、ミトコンドリア分解を媒介するのか、そしてマイトファジーを適切なレベルに制御するのかといった問題に取り組みます。加えて、その他のマイトファジー関連因子群(約10個のタンパク質)についても解析を進め、選択的ミトコンドリア分解システムの時空間動態を統合的に理解してゆきます。
ミトコンドリアに酸化ストレスが蓄積すると、「分別マーク」タンパク質Atg32の発現が誘導され、ミトコンドリア表面に局在するとともに、Atg8やAtg11と相互作用します。Atg11を「足場」として他のAtgタンパク質が集合し、Atg8を含む隔離膜と呼ばれる膜を形成しながら、ミトコンドリアを取り囲んでゆくと考えられています。
マイトファジーの生理機能
選択的ミトコンドリア分解は、機能不全のミトコンドリアを除去することによってオルガネラの品質管理を行うと考えられます。例えば、呼吸活性を欠損した異常ミトコンドリアを特異的に識別して排除する過程に、マイトファジーは必須であると想定できます。その際、ミトコンドリアの正常と異常を何がどのようにして見分けるのか?私たちはこの視点を通して、ミトコンドリア品質管理の根本原理に迫ります。ミトコンドリアの健康状態は、細胞の恒常性を左右する重要な問題です。マイトファジーはどの細胞機能とリンクしているのか、ミトコンドリア分解が損なわれた際に細胞内でどのような適応が起こり、あるいは障害が生じるのか?出芽酵母が持つ遺伝子・タンパク質のグローバル・ネットワーク(オミックス情報)に着目し、これらの疑問に答えることで、ミトコンドリア品質管理の生理的意義を明らかにしてゆきます。
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